子宮筋腫とは

子宮筋腫とは子宮の筋肉にできる塊で、良性の腫瘍です。

子宮筋腫の発生の原因は明らかになっていませんが、卵巣の働きと深く関与していることが分かっています。

筋腫が他の臓器に移転することはほとんどなく、卵巣から分泌される女性ホルモンの作用によって少しずつ時間をかけて大きくなります。

その大きさは目に見えない小さなものから、数十センチ大のものまでさまざまです。

大きくなっても生命に影響するものではなく、症状による日常生活への支障がなければ必ずしも治療が必要な病気ではありません。
 
症状は子宮筋腫のできる場所によって異なり、生涯無症状で気がつかないまま終わる人もいます。

代表的な症状は月経困難症、それに伴う月経痛、貧血などがあります。
また帯下(おりもの)の変化や腰痛や頻尿、便秘、不妊などの症状が現れることもあります。

子宮筋腫はピンク色、あるいは灰白色をし、中には血液の流れが悪いために暗赤色をしているものもあります。
固さは一般的にソフトボールくらいの固さと言われています。

子宮筋腫は正常な月経のある成人女性に見られる場合が多く、成人女性の10人に2〜4人に子宮筋腫がみられると言われています。

現代では目に見えないほどの小さな筋腫まで調べれば、ほとんどの成人女性に見られると言っても過言ではないほどありふれた病気なのです。

最近では体格の向上によって初経年齢が若年化しています。
そのため子宮筋腫の発見も近年低年齢化しており、20歳台の女性で発見されるケースも増えています。

子宮筋腫と手術

子宮筋腫による症状が遜い場合や不妊や早流産などの弊害が考えられる場合には、手術が有効な選択肢の一つになります。

また筋腫が悪性の肉腫の可能性がある場合には手術による治療が適していると判断されます。
 
子宮筋腫の手術には、子宮をまるごと摘出する子宮全摘出手術と、筋腫だけを取り除く筋腫核手術の2種類があります。
 
筋腫核手術は主にその後に妊娠、出産を希望する女性に適していている方法ですが、妊娠を希望していなくても子宮を残したいと希望する女性にも選択されています。

ただし、この方法では小さな筋腫を完全に取り除くことは不可能であるため、手術後に筋腫が再発する可能性が残ります。
 
子宮全摘出手術は筋腫核手術と比較すると再発の心配がない完全な根治療法で、妊娠・出産を終えた女性に勧められる方法です。

不快な症状が一度に解決し、夫婦生活を含めたその後の生活に支障はありませんが、女性の象徴的な臓器である子宮を失ったということに喪失感を抱く女性も少なくありません。
 
子宮全摘出手術は腹部を切開する複式と、膣から行う膣式に分けられます。

一般的に膣式の方が痛みは少なく、術後の回復が早いという利点があります。

しかし巨大な筋腫や体内で他の部位との癒着が見られる場合には行うことができません。
 
手術の難易度は手術方法だけではなく、筋腫の大きさや子宮の状態、そして健康状態によって異なります。

近年は医療の技術が進歩し、子宮鏡や腹腔鏡などを使った新たな手法も取り入れられています。

子宮筋腫と子宮腺筋症

子宮筋腫は過多月経や月経困難症といった症状が特徴ですが、この症状がさらに強い場合には子宮腺筋症の可能性があります。

子宮腺筋症とは子宮内膜症の一つで、子宮筋層に内膜症細胞が増殖し、子宮の壁の一部が硬くなったり、子宮が腫れて肥大する病気です。

無症状の場合もありますが、多くの場合は日常生活に支障をきたすほどの激しい月経痛や過多月経を伴います。

また次第に症状が強くなるのも特徴で、不妊の原因になることもあります。
 
子宮筋腫は成人女性の10人に1人が持っているのに対し、子宮腺筋症は5人に1人が持っていると言われ、子宮筋腫より発生の多い病気です。

年齢別にみると、妊娠、出産を経験した35歳から50歳までの女性に多く発生していますが、最近では子宮筋腫と同様に低年齢化し、20代で発見されるケースもあります。
 
治療はこれまで子宮全摘出手術が最も多く行われていましたが、最近では子宮筋腫のように核手術を行うことも増えています。

子宮がそれほど肥大していない場合には薬物療法で様子をみることもあります。

子宮筋腫と症状や所見が似ている上に内診や超音波診断だけでは区別が難しいため、子宮筋腫と診断されることもありますが、両者は互いに合併症として発生することも多いため、正確に区別されなくても支障がないというのが実情です。

閉経を迎えれば解決する病気ですが、辛い症状があるならば適切な治療を受けることが大切です。

新しい子宮筋腫の治療方法として注目を集めているFUSやUAEが子宮腺筋症に適用できるということで、今後の治療に期待がされています。

子宮筋腫と子宮全摘出手術

子宮筋腫の治療の一つに子宮をまるごと切除する子宮全摘出手術があります。

この方法は筋腫が大きく重い症状を持つ妊娠を望まない女性に適した治療です。
 
子宮を摘出することによって起こる女性の体の変化には、月経がなくなること、妊娠が出来なくなることの2つがあります。
 
子宮を摘出すると女性らしさがなくなるとか、性生活ができなくなると考えている人も多くいます。

しかし女性らしさは臓器の有無ではなく内面から出てくるものです。

また女性らしさの要素の一つである女性ホルモンは卵巣が残っていれば分泌されるため、実際には女性らしさを失うことも、性生活ができなくなることもありません。
 
子宮全摘出手術は比較的体に負担が少ない手術です。

腹式手術の場合では手術の翌日には自分で走行できるようになり、食事も流動食を摂ることができます。

入院期間には個人差がありますが、2週間みれば十分だと言われています。

しかし退院後は無理をせず、なるべく腹圧をかけないように、適度に休息を取りながら日常生活に体を慣らしていくようにします。

最近ではお腹を切らない膣式手術も広く行われるようになっています。

どちらの方法にしても手術の後の定期健診を忘れずに受けて、慎重に回復を待つことが望まれます。

子宮を摘出したことに大きな喪失感を抱いてしまう女性もいます。

しかし筋腫による辛い症状から解放されたことを前向きに考えて、その後の人生を有意義に生きることが大切です。

子宮筋腫と漢方

漢方は中国の伝統医学で、天然の生薬を2種類以上組み合わせて作られた漢方薬を処方して治療を行います。

子宮筋腫の治療において、西洋医学は薬物療法や手術によって筋腫を人工的に取り除く治療が行われますが、薬物による副作用は強く、手術も体に大きな負担をかけます。

これに対し漢方は、自然の薬物によって筋腫による辛い症状を取り除くことを目的としています。

さらに生活習慣を見直し、血行促進や冷えの解消などによって筋腫が大きくなるのを防ぎます。

また漢方では子宮筋腫の出来ている場所や数、大きさだけではなく、患者の体質に合わせて薬を選ぶという点でも西洋医学とは異なります。

漢方において子宮筋腫は「おけつ」という「血の滞り」が原因で起こる病気だと考えられています。

そこで治療では「駆血剤」(くおけつざい)という種類の薬が一般的に使われています。
「駆血剤」の代表的なものには「桂枝茯苓丸」(けいしぶくりょうがん)、「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)があります。

この2種類の薬によって多くの女性の症状が改善しています。
また「加味逍遥散」(かみしょうようさん)や「桃核承気湯」(とうかくじょうきとう)、「折衝飲」(せっしょういん)なども多く処方されています。

漢方薬は効果が表れるまでに時間がかかるという認識が広まっていますが、体質にあっていれば1週間から2週間で効果が表れることもあります。

近年では西洋医学の治療に漢方を取り入れる病院も増えています。
子宮筋腫の治療においても漢方を上手く取り入れることで、体に負担の少ない効果的な治療が可能になるでしょう。

子宮筋腫のできる場所

子宮筋腫と一口に言っても筋腫のできる場所は人によってさまざまです。

子宮筋腫全体のうち、95%は子宮体部に発生し、残りの5%は子宮頸部に発生しています。
 
子宮体部にできる筋腫はさらに場所によって大きく3種類に分けられています。
 
子宮の筋肉の中にできる筋腫を筋層内筋腫と呼びます。

子宮の内側を伸ばすように発育するため月経量が増え、月経痛や貧血などの症状が表れます。

また不正出血が続くこともあります。
さらに卵管が圧迫されると不妊症の原因となることもあります。
 
次に子宮の表面に突出して発生し、外側に向かって発育するものを、膜下筋腫と呼びます。

大きく発育した漿膜下筋腫はお腹の上から触ると固いしこりがあるのが分かります。
他の場所と比較すると最も症状が少なく、また筋腫が大きくなるまで症状が現れないことが多いのが特徴です。

筋腫が発育して大きくなると下腹部に圧迫感を感じ、膀胱を圧迫すると頻尿、尿閉、直腸が圧迫されると便秘などの症状が表れることがあります。
また背中の方にできると月経痛以外の腰痛なども起こりやすくなります。
 
また、子宮の内宮に突出し、内宮に向かって発育していく筋腫を粘膜下筋腫と呼びます。

この場合、月経量が増えて月経痛や貧血がひどくなり、不妊症や流産の原因になることもあります。
中でも筋腫が膣に向かって発育する筋腫分娩ではおりものが増える、月経以外にも出血が続くなどの症状が出ることもあります。

現代最も多いのは筋層内筋腫で、次に漿膜下筋腫、粘膜下筋腫が続いています。

子宮筋腫の予防

子宮筋腫は成人女性の多くにみられる病気と言われていますが、生活習慣病とは異なり、日常生活で予防する方法はありません。

しかし早い段階で見つければ、子宮筋腫による辛い症状を予防できる可能性があります。
 
子宮筋腫とはもともと子宮の筋肉組織に小さい筋腫の芽が発生したことから始まります。
筋腫が小さいうちはほとんどの場合自覚症状がなく、筋腫が発育して大きくなると症状が表れます。

そのため筋腫が小さいうちに発見し、必要に応じて早めに治療を受けることが辛い症状を予防する第一歩だと考えられます。
 
筋腫を早期発見するためには婦人検診をできるだけ早めに、そして定期的に受けることが最も効果的です。

症状がない場合、筋腫を放っておいても生命に関わることはありませんが、人によってはどんどん発育して巨大な筋腫になることもあります。
そのため経過観察であっても定期的な診察を怠らないことが望まれます。
 
また、子宮筋腫があると過多月経や筋腫に血液を奪われることによって貧血になります。

貧血は動悸、息切れ、頭痛、倦怠感などの不快な症状につながる恐れがあります。
こういった症状を予防するためには、日常の食事で十分に鉄分補給をすることが必要です。

赤身の魚、海藻類、貝類、レバー、子魚、緑黄色野菜などを多く摂るように心掛けるとよいでしょう。

またサプリメントを利用するのも一つの方法です。

また食事による栄養補給と同時に、運動を習慣的に行い、血液の流れを停滞させないことも予防になります。

子宮筋腫の種類

子宮筋腫は発生する場所によって種類に分けることができます。

大きくは子宮体部に発生する「体部筋腫」と子宮頸部に発生する「頸部筋腫」に分けられ、子宮筋腫全体の95%は体部筋腫です。
 
体部筋腫は位置によってさらに筋層内筋腫、粘膜下筋腫、?膜下筋腫の3種類に分けられます。

筋層内筋腫は子宮の筋肉組織内にできる筋腫で、子宮筋腫全体の7割を占める一番多い筋腫です。

小さなものから握りこぶし大のものまで大きさはさまざまで、複数できることもあります。

小さいうちは症状が表れませんが、大きくなると子宮内膜の圧迫や内腔の変形を起こし、過多月経や月経困難症などを引き起こすこともあります。
 
次に粘膜下筋腫は子宮内膜のすぐ下に発生し、子宮の内側に向かって発育する筋腫です。

全体の1割程度と少ない発生率ですが、過多月経や不正出血などの症状が最も強く表れる筋腫です。

また子宮内膜に受精卵が着床しにくいため、特に妊娠がしにくくなります。
 
さらに粘膜下筋腫が茎を持って子宮壁とつながる「有茎粘膜下筋腫」では、まれに膣の中に筋腫が出てくる「筋腫分娩」が起こることもあります。
 
最後に粘膜下筋腫は子宮の外側の漿膜にできる筋腫で、子宮筋腫全体の20%がこの種類です。

筋腫が大きくなっても症状が現れず、気付かないまま過ごす人も多くいますが、子宮から突出するように発育する「有茎漿膜下筋腫」では茎がねじれたときに激しい痛みを伴います。

いくつかの種類が合併して発生する子宮筋腫も多く見られます。

子宮筋腫の症状

子宮筋腫は多くの成人女性にみられるポピュラーな病気ですが、その症状は筋腫の大きさや数、できる場所によってさまざまです。

小さな筋腫や場所によっては症状が全く無いこともあり、婦人科の検診や妊娠時の検査で偶然発見されることもよくあります。
 
一般的な症状で最も多いのが月経の変化です。

月経期間が長くなる、出血量が増える、不正性器出血が起きるなどの他、それに伴い月経痛や貧血がひどくなる、息切れやめまい、顔色不良などが表れることもあります。
 
また子宮筋腫が大きくなり周りの臓器を圧迫することによる症状もあります。

その典型的なものは頻尿で、これは筋腫が膀胱を圧迫することによって起こります。

さらに筋腫が大きくなると大腸を圧迫して便秘になることもあります。
 
子宮筋腫の発生場所によっては受精卵の着床を妨げたり、精子が卵管を通る際に障害となったりして、不妊症の原因となることもあります。

また正常な場合と比べて、流産や早産の可能性が高いことも分かっています。
 
子宮筋腫の中でも子宮の内側の粘膜にできる粘膜下筋腫や漿膜下筋腫では、まれに腹膜炎などの合併症や、月経時に多量出血による出血性ショックなどの恐ろしい合併症を招きます。

特に症状がなく、不妊などの問題を抱えていなければそのまま放置しておいても大事に至るものではありませんが、子宮筋腫だからといって軽く考えず、異変を感じたら早めに受診をし、定期的に健診を受けることが大切なことです。